📙 やとのいえ

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(ずっとブログの移転を考えていたのですが、年末に取り掛かり始め、やっと終わりが見えてきました。以前の更新がかなりハイペースだったことに自分で驚いてしまいましたが、心機一転Bloggerに移転し、以前よりのんびりペースになるとは思いますが、また読んだ本覚書&私的読書感想文を書いていきたいと思います。今後も「humhummの乱読日記」をよろしくお願いいたします)

細かくて暖かくて好きな絵。ブリューゲルの『雪の中の狩人』のような感じで、奥行きがあり、生活感があり、人がたくさん登場する絵。「やと」というのは、なだらかな丘に挟まれた浅い谷のことで、この絵本では東京郊外の多摩丘陵をモデルにしているという。知り合いが近辺に住んでいるので、なんだか既視感がある景色だと思ったらそのとおりだった。

絵本だけれど、情報量が多い。絵にも情報量が多いし(細部まで書き込まれているので見入ってしまう感じ)巻末の解説は小学校低学年なら読まないだろうけど、中学年高学年ならじっくり読みこめるだろう。私が小さいころの学研シリーズの『○○のひみつ』は今のシリーズよりも少し難しめな感じで、低学年のときはマンガしか読んでいなかったが、高学年になるとページの端にある豆知識なものも読み込んでいたが(その知識を生かして地元ローカルのクイズ番組に出たのはいい思い出)そのように年齢が上がるにつれて得られるものを増していく本。

1892年(明治25年)から2019年(平成31年)の150年間のやとの景色を定点観測で見ていく。昔ののどかな暮らしから周りの森林がなくなり畑もなくなり、コンクリートで固められた道、家が密集して今の見慣れた景色になっていく。悲しさと切なさを覚える移り変わり。

後半の解説では絵の細かな解説、絵の内部に番号が振られ、農具や風習、人々の解説があり(受験にも十分役立つと思う!そして兄弟も使える)子供も楽しめて知識を得られ、大人も楽しめる素敵でお得な絵本だと思う。私個人としては絵の繊細さと温かさ、解説の細かさ具合が適度で難しすぎないのが、家族で読むのにおすすめ。